マルタ - 大佐とダイビング - Malta


本日は待望のダイビングの日です.
カメラを持っていけなかったので,ダイビング中の写真はありません.

朝起きて食事をし,ホテルのエントランスで迎えを待ちます.
しばらくして女の人がトラックで迎えに来ました.
この方を大佐と呼びます.
理由は後程.
まずはショップに向かうのですが,大佐の運転が荒いw 
しかも「邪魔だ!」とか「チッ,このへたくそが」的なことをつぶやきながら運転しています.
怖いよwww

ショップに着き,これまでのダイビング本数などを確認され,自分で機材の準備をします.
日本では,ショップの人がすべて準備し,装着まで手伝います.
お客様は待っているだけですが,海外ではすべて自分で準備し,確認もすべて自分です.
この辺りはネットで調べていたので問題なかったのですが,
「準備!」
「トラックに積む!」
と大佐から激しい指令が下ります.
後で調べて分かったのですが,マルタの公用語はマルタ語と英語なのですが,英語の訛り(?)が怒っているような感じになるらしいです.
もっと早く調べておけば,この後のビクビクも少しは減ったのかもしれません.

まずはショップの目の前のビーチにエントリーです.機材を背負い,準備万端です.

「潜行前の確認!B!」
「…」
「…」
「?」
「BはBCD(ダイビング用ジャケット)の確認!!」
焦ってBCD着てますアピール.
「次!W!」
「…(焦)」
「WはWeight!重りの装着確認!」
必死にウエイト付けてますアピール.
「次!R!」
「…(泣)」
「RはRelease!機材のゆるみ確認!」
ゆる,,,んでました.
「次!A!AはAir.空気残量確認!」
「空気たっぷりっす!」
「最後にすべてを再度確認!」
「イエッサー!(ビクビク)」
さすがにここまで調べてなかったです.
もちろん日本のダイビングショップでも同じことはやっていますが,順番とか英語とかはわかんないです.
そして大佐怖いんす.

一通り準備を終え,やっとエントリーです.
5年ぶりぐらいのダイビングです.
と,顔をつけたとたん,視界がかなり悪い.
多分5 mくらいしかないです.
1本目はチェックダイブなので,大して面白みもない場所を潜るのはしょうがないのですが,いくら何でも視界が悪い.
見た生物はタコとシーワームくらいでしょうか.
40分程で戻ってきました.
「ダメだ!視界が悪い!昨日はこれの10倍以上は見えていたが,昨日のスコールのせいか!」
大佐ご立腹.
雨で陸上の土が海に流れ込み,視界が悪くなっているのです.
「よし,じゃあ昼飯を食って次のポイントに向かおう.準備してトラックに積み込むんだ!」
セカセカと準備をし,トラックに積み込みます.
「カメラ,財布等の貴重品は置いていくように!」
「!?」
ここで大問題発生です.
財布? 実は来る前にメールで支払いのことについて確認していました.
「支払いはいつしたらいいですか?」
「あなたが帰ってきてから払えます」
と,私この「帰ってくる」はホテルかと思ったのですが,今の状況から考えると,このショップに帰ってきてからだ!
財布はホテルに置いてきてしまった!
まずい!
支払額は135€,手持ちの現金を確認してみると,,,130€,,,5€足りない,,,
とりあえず大佐に話してみます.
「全く何やっているんだ,ちょっと待っていろ,話してくる」
と奥に行き,数分後
「話をつけてきた.130€で構わんが,その代わりうちのショップのレビューを書け.☆5だ.いいか分かったか?」
ありがたい申し出なのだが,何となくスッキリしない,,,
そしてみんな昼ご飯に行きます.
私は使えるお金がないので水分を補給してゆっくりします.
そこへ,ショップの男性が話しかけてきました.
「やあ.日本から来たんだって?ちょっとこれを見てよ.」
小さな紙にローマ字で色々な日本語と意味が書かれています.
「日本語覚えたいんだよー.日本にもいつか必ず行くね.むしろ来年行くね.何か使える日本語教えてよ.」
めちゃくちゃやさしい英語です.
案の定,彼はマルタではなく南アフリカ出身でした.
「日本人はほんと丁寧で親切だ.お客さんとしては最高だし,色んな事を教えてもらったよ.」
とのこと.
「これは危ない」
「今から潜ります」
など,ダイビングで使えそうな日本語を色々レクチャーしました.
すると,彼が近くにいた女の子スタッフを指さして
「あれは「バカ」」
と言ってニヤニヤします.もちろん日本語なので女の子は分からず,
「今この人なんて言ったの?教えてよ,絶対悪い意味でしょ!」
「そしてこんな言葉も知っているよ.「××××(すごく卑猥な言葉)」」
「××××ってなにー?なんか響きがかわいー」
ダメです.女の子が口に出していいような言葉ではありません.
誰だこんなこと教えたのは,,,
「すごく紳士的な日本人から教わったよー,大丈夫,ちゃんと意味も分かってるよー」
「ねえ!××××ってなにー,教えてよ××××!!」
とかしているうちに,次のダイブの時間になりました.
この男の人もインストラクターみたいなので,大佐じゃなくこの人なら怖くなかったのに,,,

昼からは他のお客さんと一緒に潜ります.
2本目は戦争で沈んだ船,沈船を見に行きます.
レックダイブ (Wreck dive) と呼ばれます.
確かに,視界が悪くても楽しめますし,私は初レックです.
マルタは魚というより,レックダイビングで有名みたいです.

トラックでエントリーポイントに向かいます.
相変わらず
「どけお前ら!」
「お前は右に行きたいのか!左に行きたいのか!」
と叫びながら大佐が運転します.

ポイント到着.
エントリー前のチェックをお互いにやれと言われましたが,もう一人の方が私に合わせてゆっくりやってくれました.

そしてエントリー.
相変わらず視界は悪いです.
しばらく行くと,見にくい視界の奥から,亡霊船のように小さな船が現れました.
視界が悪いのが逆に雰囲気出てるな,と思えるくらいです.
ここに弾が当たって沈んだんだ,と大佐がジェスチャーで教えてくれます.
一通り周って見て,戻ってきました.
たまにはこんなダイビングも悪くないなと思いましたが,やはり私はカラフルな魚やエビを見てる方が好きですね.

私は3本ダイビングをお願いしていたので,もう1ポイント行きます.
次は夫婦と一緒にダイブです.
潜るポイントは,ヴァレッタのすぐ横に沈んだ船です.
さすが城塞都市,当たり前かもしれませんが,普通に周りに船が沈んでいるんですね.
私が旦那さんとペア,すごく不安そうにしている奥さんは,女の子スタッフとペアです(ダイビング用語でバディと言います).

「潜行したら下で待て!」
の指令の元,下で待ちます.
奥さんがなかなか沈めません.
丁度いいので,逆さまになったり,回転したり,タンクを背負っての動きに慣れる練習とかしていました.
しばらくして奥さんが沈むことができ,沈船に向かいます.
ここの沈船はかなり大きなもので,視界の悪い今日は全体が見えないほどです.
ここは視界が良かったらなーと思いました.
こちらの船は損傷が激しく,兵器の破壊力って恐ろしいなと感じました.
窓から中を覗いたり,大佐に猫掴みにされて損傷部分の中を観察したりしました.
これだ!という見所はないのですが,初めてなのですべてが新鮮に感じられました.

さてエントリーポイントに戻ります.
最初から思っていたのですが,先頭を泳ぐ大佐はほとんど後ろを確認しません.
日本であれば,お客様精神の元,先行インストラクターは常に後ろを気にします.
と,奥さんがまた浮き上がってしまいました.
大した水深ではないので落ち着いて潜りなおせばいいのですが,大佐,気付かず.
バディの女の子スタッフが再潜行を手伝います.
旦那さんは心配そうに見ています.
私は旦那さんとバディなので,一緒に様子を見ます.
大佐はもう見えません.
おーい,大佐ー.

なんとか奥さんが潜りなおせましたが,大佐がいないので方向が分かりません.
女の子スタッフがここで待ちましょうと指示を出しますが,めっちゃ不安そうです.
まあもう見るものは見終わってますし,また逆さまになったりして遊んでいると,大佐が戻ってきました.最初のジェスチャーは,「お前ら何やってんだ」でした.

エントリーポイントまで戻り,海上に顔を出します.
ヴァレッタの城壁の真下です.
写真はありませんが,晴れた空をバックに見上げる城壁都市はすごい迫力でした.
陸に上がり,機材を外します.
「Airはどのくらい残っている?」
「70だね」
「60しか残ってないわ」
「120っす」
「!? なんでそんな残っているの!あたしでも100なのに!」
「お前色々遊んでいた割にはAirを残しているな.確かに無駄の少ない泳ぎ方ではあった.大したものだ.」
初めて大佐からお褒めの言葉をいただきました.
なんとか英語で
「お褒めに預かり光栄です.キリッ」
とか言おうとしましたが無理でした.
体が小さいのでエコ運転なだけなんですけどね.
そして遊んでたのめっさ見られてました.

帰りの暴走トラックの中,
「どうした,急に口数が減ったな.」
「あー,確かに.何となくダイビングの後はいつもこうですね.」
沖縄のバイト時代もそうでしたが,ダイビングの帰りは何となくボーっとするのが好きです.
ただの酸欠かもしれませんが.
と,,,
「ところで××××って何なのー?」
後ろの席から女の子スタッフです.
「なんだ××××とは?」
勘弁してください大佐.
私の英語力では包み隠して女性に伝えるという高等技術は持ち合わせておらず,
「南アフリカボーイに聞いてちょ」
としか言えませんでした.
ごめんよ,南アフリカボーイ.
いや,でも元はと言えばあんたが悪い.

ショップに戻り,支払いを済ませ,大佐の暴走トラックでホテルへ.
「視界が悪くて残念だったが,楽しめたか?」
「初めてのレックダイブでしたし,海外のダイビングの仕方も経験できて楽しかったですよ」
「それならよかった.また来い.ではな!」
最後まで大佐オーラでした.
ちなみに確実に私より年下です.

さて,時間は17時.
思ったより早く終わったのと,どうしてもスッキリしないので,財布を持ってダイビングショップに向かいます.
そう.5 €払ってないのが気になってしょうがないのです.
バスで30分程で到着.




ダイビングショップはリゾート地のど真ん中にあります.
もう大佐たちはおらず,受付の人に話しかけます.
5 €払いに来たと伝えると,
「え!なんで!130 €でいいって伝えたよね!?」
めっちゃびっくりされました.
「日本人って本当に真面目なのねー」
と目を丸くして受け取ってくれました.
私としては,払わないのも気持ち悪いですが,その対価にレビューを書くというのも,どうも気持ち悪かったんです.

さてスリマに戻り,夕飯を何にしようか考えていると,持ち帰りのできるヌードル屋さんを発見しました.
先ほど海面から見たヴァレッタの城壁のインパクトが強くて,あれを見ながら夕飯を食べようと思いつきました.
スリマの対岸はヴァレッタですので,海沿いを歩いていれば,いい場所が見つかるだろうと考えたわけです.




海側から見たヴァレッタです.
こんな風に大きな都市が城壁で囲まれています.
思ったよりめっちゃ歩くことになってしまいましたが,ようやく見渡しが良く,座って食べれる場所を見つけました.


ピントが合っていませんが,本日の夕食です.ジャパニーズヌードルらしいですが,醤油かけすぎで辛かったです.
あと相変わらず多すぎて全然食べきれません.
まあでも今回勝手にテーマの一つになった,「世界遺産を見ながら食事」は達成されました.



帰る頃には幻想的なヴァレッタになっていました.
今日も色々と貴重な経験をしたなと,大佐に敬礼をしながら就寝しました.



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